4 枚方にLRTを導入できるのかという疑問に対する回答

1) 狭い道路に路面電車は走るのか

 「枚方にLRTの導入を」というわれわれの主張に対して、一般に先ず第1の素朴な疑問として「枚方のような狭い道路に果たしてそれは可能なのか」ということが質問されます。

 社団法人日本交通計画協会2000年4月発行の「ライトレールトランジット ― 身近な都市交通LRT」では、導入空間として「幅約6mの狭い空間にも導入が可能」と示されています。

 現実に、日本における路面電車としては土佐電鉄の高知市鏡川―伊野町間約8km区間では、枚方の府道杉−田口−禁野線よりも狭い道路を単線で運行し、停留所部分のみで複線となりすれ違いを行なっています。

 また、ヨーロッパのベルギー・ゲントを例にとると、狭い道路の一定区間は一方通行で巡回し、そのなかに優れたトランジットモールも形成しています。また、二車線部分でも歩道とは接近し、狭い道路を有効に活用している現状が認められます。

 人間の知恵を活かして、枚方においてもLRT導入は可能だと考えます。

写真6 狭い道でも運行される土佐電 写真7 ベルギー・ゲントの狭い道路の
トランジットモール

2) LRTの採算性はどうか

 国土交通省、総務省による建設費、車両費などに対する補助支援制度が確立してきていますし、社団法人日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)関西プロジェクト委員会の「LRT導入ガイドラインの検討と新規構想(滋賀県湖南地区・枚方市)の提言」において採算性が検討され、枚方市において路線によっては採算性が高いことが報告されています。

3) 市民の賛成を得られるか

 新しいシステムを取り入れる場合には幅広い市民各層の同意形成が何よりも必要になります。最近、新聞・雑誌・テレビ・ラジオによってLRTについて報道される機会が多くなり、LRTという言葉が一般化されだしたとは言え、まだまだLRTに関しての理解が深まった状況には至っていないのが現実です。

 市民各層に向けて幅広い、そして認識を高めてもらうための働きかけが皆無である状態においては、特に自動車利用者にとって一見不利と感じられかねないLRTの導入が簡単に市民から賛成を得られるとは考えられないところです。

 しかし、時代の変化とともに、価値観の根本的変革が強く求められる今日、行政においても積極的に適切な情報提供を行い、市民各層の意識変革を試みることが必要です。

 はじめから不可能であるという態度で臨むことは現状維持で終わることになり、毎日のように交通渋滞で悩まされる市民のフラストレーションを解消することにはなりません。


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