LRTライトレールと交通まちづくり
1999.5.22(於、枚方市)
東京大学大学院エ学系研究科
教授 太 田 勝 敏1.はじめに:都市交通が直面する諸課題
- 車依存社会への反省:交通問題(事故、渋滞、交通公害)からまちづくり、社会・環境・健康問題へ
- 背景:高齢社会 社会経済の変革、地方分権と規制緩和、財政制約
2.パラダイムシフトと公共交通の役割
- 新たな目標:持続可能な交通(Susteinable Mobility)
ー環境・生態面(安全、健康を含む)、経済・財政面、社会面
ー自動車交通の抑制とグリーンモード化- 既存施設の有効利用とマネジメントの時代
ー交通政策の体系とTDM(交通帝要マネジメント)- 代替交通手段としての公共交通:
都市交通の効率化、モビリテイ確保、環境・まちづくり
注.建設省都市計画中央審雀会(H9.6.9)"公共交通は「都市の装置」"3.ライトレールLRTの特徴
- 中量輸送機関 一路面電車トラムとは別の革新的システム
(路面走行、専用通行路走行)- 代替選択肢
(1)鉄軌道系;ミニ地下鉄、モノレール、中量軌道システム(新交通システム)
(2)バス系;ガイドウェイバス(例、名古屋志段味線)
パスウェイ(パス・トランジット・ウェイ 例、オタワ)
中央走行方式パス専用レーン(例、クリチバ)
- ライトレール
特徴:速度信頼性が高い中量輸送システム
ー地表面乗降、ノンステツプ車両でアクセス性が高い
ー低コスト性(他の軌道系と比べてインフラ部分が安価)
ー環境性(排ガスがなく、低騒音・低振動.軌遣の緑地化も可能)
ーまちとの親密性(デザイン、アクセス、シンボル、歴史とのつなぎ)
ーまちづくり・申心市街地再生・活性化の契機課題:財源・採算性−インフラ補助開始(車両補助がない)
建設省:『路面電車の活用に向けて』支援を開始
(路線の延伸・新設のためめ道路整備、
トランジットモールの整備、架線柱のセンターポール化)
導入可能性ー用地確保、道格空間再配分、
既存機関との調整(バス再編)
システム化ー軌道系制約、
都市交通体系への組み入れ(中間モード?)、
結節点での連続性確保(運賃、乗換施設)4.ライトレールと“交通まちづくり” (事例を申心に)
- 欧米で進む「路面電車のルネツサンス」
ーストラスブール(フランス):総合的都市交通対策、
都市のイメージアップの一環- マルチ・モーダル都市交通システムの形成
ー都市鉄道と相互乗入れ(カールスルーエ、ザールプリュッケン)
ーゴムタイヤ式LRT GLT2000の開発(フランス)
ーオーパーハウゼンのトラッセ(バスウェイとの一体化)- 都市形成(開発軸)、サプセンターの開発
ーシアトルのアーバンビレッジ構想- 都心部の魅力アツプ
ー利便性、シンボル性、イメージづくり- 新しい住宅地の開発
ーフライプルク(ドイツ)のリーゼルフェルト(マイカーのない住宅地)
ー公共交通志向型都市開発(TOD)、
ボートランドのMAXートランジットモール(都心部)
と郊外部でめTOD開発
★クリチバの蔀市開発軸5.期待:21世紀の“まち”に相応しい都市交通システム
都市交通手段のニユー・モード
車依存型都市からの転換の契機
街路のマネジメント−優先順位づけと車道空聞のリストラ
(道路空間再配分)カギ:地域の参加と支援
自治体(その連合)べ一スの新しい交通・都市づくりの仕組みの必要性
“交通まちづくり”の契機、触媒ー関係者の協働
参考文献