古い路面電車のイメージを変えよう 今日では路面電車、トラムと言ったり、市街電車と言ったりしますが、昔は市電、市電と言ったものです。大阪で生活している人たちには路面電車などは昔の遺物のような感覚があるでしょう。大阪にも路面電車があると聞くと「うそー」と思われる方が殆どではないでしょうか。一般に日本人がもっている路面電車のイメージは遅いだの、古くさい、ダサイ、やかましい、うるさい、邪魔なものというネガティブなものばかりでした。邪魔なものというのは車社会から見て邪魔なものだったのかも知れません。このマイナスのイメージを根本的に変えていく必要があると思います。欧米諸国で活躍しているLRTと呼ばれる路面電車は全く違ったイメージを持って市民に親しまれているのです。 私自身、戦前に大阪市内に住む祖父母の家に行くときに天満橋から上本町2丁目まで市電で行ったように記憶しています。赤バス、青バスという名前がチラッと浮かびますのでバスであったかも知れません。戦後、北畠にあった大阪大学南校に通うのに天王寺から上町線に乗っていました。非常に乗りにくい電車であったという記憶があります。外を見るのに腰をかがめなければ見えない、外を見たいのに自由に見れないのでいらいらしたものです。 昭和三十五年から三十六年にかけて、西ドイツのハイデルベルク大学に留学していました。狭い古い街中を路面電車が走っていまして、寮から大学病院まで通うのに毎日のように利用していました。この路面電車のイメージとしては比較的良いものでしたが、残念ながらハイデルベルクの古い街の中心地の路線は廃止され、完全な歩行者天国になってしまっています。バスが迂回して一部に入ってきていますが、どうして廃止してしまったのか残念になります。今日でも狭い古い街の真ん中を路面電車が走り、賑やかな街並みを形成している都市がドイツには沢山見られるのでなつかしいハイデルベルクの路面電車の中心街の路線の廃止は残念です。 西ドイツではそれ以外に3ばかりの街で路面電車が非常に重要な乗り物として走っています(実際には55の都市のようですが)。 今回、路面電車の問題にこれだけ熱心になりましたのは、平成6年に広島電鉄の運転手の教育用シミュレータの映像場面を事故分析にもとづいて決定することをシミュレータ作成会社から依頼されて研究を実施したことからです。そのときに一緒に研究した方も本日出席いただいていますが、すべての路線を何回も乗ってみて広島電鉄の路面電車がいかに市民に親しまれ、重要な乗り物になっているかを実感しました。 路面電車の必要性を考える背景としては、日本の車社会をいかに変えていくかということも重要な問題です。ちょっとお断りしておかなければなりませんが、私は財団法人日本自動車連盟の理事もおおせつかっています。JAFの会員ですと毎月送られてくるJAFメイトという会報の中で
「危険予知」というページがあって、それを指導しているということで私の名前がでています。私は交通事故をいかに減らすかということに対しても強い熱意をもって当たってきました。最近では高齢者の安全を確保するための、75歳以上の高齢運転者標識の選定委員長で紅葉マークの選定にもかかわりました。交通の流れを的確にするために設立されている財団法人交通管理技術協会の理事も仰せつかっていますが、車との接点は深いわけですが、日本では今日、車だけに頼ってきた車社会をいかに公共交通機関に転換していくかの重要な時期にさしかかっていると思います。 この枚方・LRT研究会も、枚方という地で多くの人にLRTの良さを知っていただき、枚方にもLRTを導入しようと言う気運を高め、実現していきたいと思うのです。枚方のような条件の必ずしも良くないところに実現すれば、日本全国に大きな刺激となり新しい発展になるだろうと考えます。 岡山市の市民で結成する「路面電車と都市の未来を考える会」が作成された素晴らしいビデオがありまして、私がいろいろと説明するよりも、LRTがどのようなものであるかをわかっていただけますのでそれを上映してみます。その中にでてこないようなLRTに関する状況などを私自身が写したものがありますので、素人の編集でお見苦しい点がありますが、LRTの実態というものを見ていただきます。
ビデオ2本上映 省略
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