1.私たち枚方・LRT研究会はなぜ枚方市でLRTの実現を求めるのか
1) LRT交通システムとはどのようなものでしょうか
LRTは単にLRV(Light Rail Vehicle)といわれる低床式車両を運行する交通機関と考えられがちですが、欧米ではまちづくりに関連するトータルな交通システムをLRTと名づけています。
- LRT交通システムが導入されている欧米諸国においては、これまでの過度に車に依存した交通社会を脱却し、人間の移動に伴う地球環境への悪影響を排除して、都市計画をも視野に入れつつ人間の生活を豊かにしようという理念が背景にあります。
- 高齢者・障害者をはじめとしたすべての人々が容易に、そして快適に移動できる条件を作るために、バリアーフリーの代表としてのLRTが導入されています。
- まちの中核としての、また商業・文化の集積地域としての「トランジットモール」が形成され、楽しい地域空間が形づくられ、まちのにぎわいを確保しています。
- 優れた車両のデザイン・プラットホームなどの付帯施設のデザインの統一など、まちの美観形成にも優れた機能を発揮しています。
- 定時性が確保される大量輸送公共交通機関への転換を交通システムの中核において、さらにバス・マイカー・自転車などとの細かいネットワークが形成されています。
- 枚方市民の新しい交通機関としてLRTが最適なものであると考えます。
2) なぜ枚方でLRTの実現を求めるのでしょうか
新しい世紀は市民にとって枚方を住みやすく、心の安らぐ楽しいまちにする世紀でなくてはなりません。そのためには市民が自由に行動し移動できる条件づくりが求められますが、現在の道路・交通環境は著しく悪化しており、毎日の市民の足、モビリティを甚だしく阻害しています。枚方市の貧困な公共交通体系を改善するためには、バスのみに依存する現状を抜本的に改革する必要があります。
図1 LRT導入前後の道路混雑の状態(建設省:路面電車活用に向けて) |
現在、日本国内では熊本市電、広島電鉄に低床式LRVが導入され、市民に好評を得ていますし、岡山でも近日中に導入される予定となっています。
3) LRTは単なる交通機関ではなく、まちづくりの中核となる可能性をもっている
LRTは交通機関としての重要な役割を担うことはもちろんですが、それは単に人の移動機関として考えるだけではなく、まちづくりの中核を担うものと認識されています。
人間の生活の基本要素としては「衣食住」に並んで今日では「移動(モビリティ)」が不可欠であると考えられています。人間は通勤・通学、買物、訪問、趣味など常に生活の質の向上と活動の範囲の拡大を求めて移動を行なっています。欧米でのLRTの現状を見ると、LRTの導入により市内での自動車交通が減少し、渋滞問題・自然環境への負荷が低減されるとともに、都市の中心地に人が戻り、人間的な接触によってまち全体が活性化されています。それは移動に当たっての抵抗感が低減され、市民のモビリティを高め、移動の潜在需要を喚起しているからです。
さらにまたLRTは郊外部へと延伸すれば、そこに住む人々の利便性を高め、また多くの人たちが都市近郊の自然環境に触れ、里山の生活環境に親しむことによって更に快適なまちになるのです。