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枚方・LRT(低床式新型路面電車)研究会結成趣意書

 20世紀に生を享けた私たちは、自動車という極めて便利な文明の利器を手にすることが出来ました。すばらしい恩恵を社会にもたらしたと高く評価することが出来ます。

 ところが、その利便牲にもかかわらず、社会全体としては、自動車にかかわる様々な問題が提起されるに至っております。例えば、地球温暖化の原因となるCO2の排出、大気汚染による健康被害、交通渋滞、交通戦争とたとえられる交通事故の発生、中心市術地あるいは都市活力の衰退、公共交通の衰退等々であります。

 枚方市内における国道1号線の交通渋滞は、はぼ常態化し、構造的なものとなっています。その影響は、枚方市内のあらゆる交通に及んでいるものといえます。

 かようなモータリゼーションの深刻なる社会状祝を如何にして克服し、解決へ導いていくべきか。

 日本よりも先にモータリゼーションを経験したヨーロッパ、アメリカにおいては、1960年代中頃から、都市の公共交通横開に対する強い閑心を抱くと同時に、自動車交通を抑制し、公共交通横閑を充実するという政策を打ち出し、その具体化に着手しているという状況であります。とりわけヨーロッパの諸都市においては、新型路面電車の導入が、今花開いていると形容することができます。また、新型路面電車やバスの低床化をコンペのように競争しています。フランスのストラスブールで路面電車が試運転を始めた日、市民はビルというビルから顔を出して、一斉に拍手をしてその歓迎の意を表したということが今日までも語り継がれています。

 一方、わが国においては、1997年5月に開催された第3回路面電車サミットにおいて「路面電車元年」が宣言されました。同年8月2日には、熊本市において、我が国初の新型路面電車(LRV)営業運転を開始しました。同年12月には、運輸省交通安全公害研究所主催の「ライトレール・システム導入による新しいまちづくりに関する国際ワークショップ」が5日間にわたって開催されました。広島市においても1999年度中のLRVの導入が検討されています。日本においても、ようやくにして新型路面電車導入に向けた環境整備がなされつつあります。

 交通渋滞によってマヒした道路空間の機能を回復し、衰退しつつある都市活力を蘇らせるということの一助として、あるいは、地球温暖化や気侯変動の原因となるCO2の削滅抑制という大きな・地球的な課題解決のための公共交通機関の果たす役割が見直され、その役割の重要牲がますます認識されつつあります。

 日本は今、超高齢社会に向けて対応を迫られています。また、どんなに障害を持っていても市民としてあたりまえに暮らせる社会をめざすノーマライゼーションの考え方が広がっってきています。高齢者や障害をもつ人が、孫や親戚、親しい友人を訪ねたり、ショッピングを楽しんだりすることがもっと気軽にできるようにならなければなりません。高鶴者・障害者市民の移動の自由とその可能性を高めることは、単に高齢者や障害者市民だけの問題ではなく、すべての市民にとって、安全で暮らしやすいまちづくりの前提条件であります。また、高齢者・障害者市民のモビリティを等しく保障するための公共交通システムを構築することが、21世祀における都市交通、まちづくりに求められています。

 そのためには、市民・利用者の立場から公共交通のあり方を模索することが大切であります。その模索の中から、市民の持っている変革のためのエネルギーが発酵・熟成してくるのではないでしょうか。

 そこで私たちは、その一つの「場」として、「枚方・LRT(低床式新型路面電車)研究会」という勉強会を発足させることにしました。この問題に関心を持つ多くの市民の参加を呼びかけます。

1998年4月

呼びかけ人代表

長山 泰久(大阪大学名誉教授) 藤田 二郎(ビオルネ店主会会長)
杉本 章(順正短期大学教授) 三星 昭宏(近畿大学理工学部教授)
木元 輝寿(1人暮らし老人会連絡会会長) 永嶋 靖久(弁護士)
芝  完次(京阪バス(株)常務取蹄役) 野口 幸男(路面電車愛好家)
中院 彰子(市 民 団 体 役員) 藤江 宗一(大阪国際学園広報室長)
平尾 賢二(郷 土 史 愛 好 家) もず 唱平(作   詞   家)