枚方LRT研究会1周年記念シンポジウム 1999年5月22日
基調講演(2) 「LRT実現へのハードル」
路面電車と都市の未来を考える会(RACDA)会長 岡将男氏が語る
ラクダ
今日、実に30何年ぶりですか、枚方の菊人形祭りですかね、子供の時に連れてきてもらって以来ですね。その時以来、こちらの方におじゃましたわけですれども、この様にですね、全国的にもかなり路面電車、或いはLRTを色々作っていこうという団体が本当に増えてきました。私たちがちょうど2年前に岡山で路面電車サミットを行ったときには、わずかな数都市で、そのような動きがあったにすぎないのですけど、もうお陰様でかなりいろんな所にそういう団体ができ、都市交通そのものを考え直そうという流れが増えてきたことを本当に、そういう意味で私たちもやりがいがあるというか、ただ単にRACDA〔ラクダ〕『路面電車と都市の未来を考える会』という名前を作っているのですけど、ここにはその路面電車だけでなく、"都市の未来を考える、そのためには路面電車がいるよ"という意味で作ったわけですが、本当にそういう面で随分の方々がそういうことに賛同し始めているなあということを感じております。実は、RACDAに対しては今日は表の方で『路面電車とまちづくり』〔学芸出版社〕という本がでております。これ、私が持っているのはサンプルでして、売るのは実は今日が初めてなんです。今朝の岡山の新聞に「この本が発売された」とでておりまして、みなさんが、手に入れられる第一号だと思うのですけれど、いわばこういうような路面電車を使って、街づくりをしようという様なことがようやく着目されてきて、この様な本が書くことが出来ました。実は、ほんとに変な話ですけれども私はほとんどこれを書いていません。前書きとあとがきと扉だけだけ書きまして、残りは誰が書いたか、RACDAの会員も書いたんですが、コンピュータ・ネットワークで知り合った人々が各種の報告をしたり、あるいは建設省の人が書いたり、日本開発銀行の人が書いたり…、という様なことで、その細かい所は意外とインターネットで知り合った人が書いている、実にネットワーク型の出版といいますか、そういう時代になってまいりました。
生活に密着した部分交通
今までこの交通の問題、特に地方の交通の問題、例えば岡山でみますと、瀬戸大橋は国が勝手に作ってくれる、新幹線も勝手に作ってくれる、のぞみまで停めてくれる、高速道路までできました。確かに空港もそうです。市民の合意があったのかなかったのか、そんなものをどこでどのように議論したのか本当の意味ではよく解らないわけですけど、そのような中でどんどん出来ていって、確かに便利にはして頂けている。今日、実は、のぞみに乗ってまいりましたが、大阪まで40分です。皆さん、ここからもし40分、どうですか。2キロ先まで行けない事がありますよね。でも、国レベルではそういったことはどんどん行われて、どんどん便利になっているんだけど、地域の私の生活に関わるいちばん密着した部分の交通はどうかといいますと、実に遅れているのが日本なんです。それは何故かといいますと、自動車ばかりになったからというのが明確なわけです。
中央官庁の動き
このことは既に、もちろん我々もようやく気がついてきたが、国の方も気が付き始めていたんです。2年前に路面電車サミットをやるということで、その立場を利用しまして、建設省・運輸省に後援の依頼に行ったその時に、ちょうどこの見直し、建設省・運輸省・国土庁・警察庁が集まり、路面電車を活用して渋滞対策をやろうではないかというのを、勉強し始めていたところです。ちょうどそこに、私たちが東京に乗り込みましてお話をしたところ、最初は「何で、佃煮屋が来るんだ」と。実は私は佃煮製造業が本業でございまして、よく大阪辺りにも営業に来ています。中央市場です、福島の中央市場 とか、それから北部市場とか、そういうところにいってスーパー巡りをするのが自分の仕事なんですけど、そういうようなことをやっております。ですから、「何で、佃煮屋がそんなところに来るんだ」というような話がありました。しかしそのうち色々お話をしていると、自分たちと同じ事を考えているのではないかと。最初に訪ねていったのが、建設省の「道路局路政課」というところです。道路局の中で、さらに道路行政の法律・方針を作っていくところです。企画課の隣にありまして、そういう所で、企画課と路政課辺りで話が始まっていたわけですね。そこへ乗りこんでいった。ただ、建設省には、道路局とか都市局とかあるわけですけど、やはり道路が足りないから道路を造っていくのだ、足りないから造る、足りないから造る、足りないから造る…と。こういうことだけやると、これが当たり前でこれがそういう方向に行っているのです。ところが財政面が非常にガタっとき始めている。最近ダムがどうだとか、もう空港はいらないとか、神戸の方でもやっていますが、そういう公共工事の巨大なものがやはり見直しを始めざるをえない。これは財政面からもそうですし、環境面からもそうなってしまったわけですが、ちょうどそういう流れと少し方向転換をしていかなければ道路だけではやっぱり無理だ。特に都心においては、もうこれ以上道路を造ると、今日も今、見させていただいたんです。ここにLRTを造ろうというところを見せていただいたんですが、なかなかそれで立ち退きをして道路を広げるとなると、本当に難しいんですね。そこでやはり道路の中でできるところは、路面電車を利用したらどうも渋滞対策になるんではないか、そういった研究の始まり、そういう段階に私たちがおじゃましたのですね。
公共交通による成熟型社会
実は私たちの市民グループというのはちょうど当初昭和60年から入っていますんで、まあ、私以外の連中っていうのは、色々な運動をやって挫折している経験者ですね。いわゆる街づくりグループということで、街を楽しくしようと。まあ、私たちも東京にいまして、公共交通に乗って11時・12時まで飲み歩いても、ちゃんと電車で帰れる、こんな良い所はない。ところが、大都会というのは住みにくいなあと。公害も多いし、自然はないし、やはり地方都市は住みやすいんですね。特に岡山なんかは、災害もないし住みやすい。だから、そういう所に帰って住みたいと思ったんですね。ですけれど、どうでしょう、公共交通はないし、第一、そのお酒を飲んで帰ろうと思うと帰れないですね。バスは10時ぐらいには終わりまして、下手すると9時ぐらいに出て10時に1本とか、そんな感じです。地方都市の、現状はそうです。どんどんバスが減る、車以外ない、…。ですから、地方都市へ行きますと「代行運転」というのが山ほどありまして、1回飲みに行くと5,000円で、代行が5,000円かかると、2回飲みに行くところが1回になる。こういうようなことで、私は非常に純粋に遊びたいために、公共交通がいるなと、そういうふうなところからこの運動に入っています。みんながお酒を飲めて、そして楽しく遊べる、それが成熟型社会と思うんですね。そして、そこには飲食店や文化が発展するんですね。やっぱり人が集まって来るんです。そうするとですね、あの官官接待廃止以来ですね、そういう人と共に飲食するのは良いのか悪いのか色々議論はありますけれども、やっぱり人と出会って御食事して、そしてそこに音楽があったりすると盛り上がります。デートでもそうでしょ、皆さん、今日は男性の方が多いので、ちょっと軟らかい話がなかなかしにくいんですけども…。そういう風なやはりおしゃれな街を造っていく、大都会だと、まあ、枚方なんか大阪が近いから良いでしょうけど、大都会はそういうアメニティがかなりあるわけですけど、地方都市というのは、やっぱりそういうその都心がどんどん自動車によって空洞化されてきて、都心の魅力がどんどん落ちているんですね。ですから、そういう飲食店なんかも成り立たないということで、だんだん廃れていっています。ですから、そういう文化がおこっていく為のそういうインフラというのが逆にですね、分散をしてしまっているという状況があるんですね。ですから、これを何とか楽しい街づくりにして、将来的には色々、大きな建設投資をするのではなくて、経済のそういうソフト面で生きていく時代を作っていくべきではないか、これが昭和60年代の私たちの考えだったんですね。
交通産業
そこでその為にはどうしたらいいか? たまたま岡山にはJR線が8方面に走っていますが、これに駅を増やすと結構公共交通が整備できるんですね。その上に、バスのルートを再編成していく。ところがそのバス会社が8つもありまして、喧嘩ばかりしているんですね。だいたい、交通関係はよく喧嘩しておりまして、利権産業ですからね、これがなかなか難しいんですね。おまけにその監督官庁が色々あり、建設省と運輸省、結構仲が悪いんですよ。同じ建物の上と下でですね、金がある建設省が下の方ですね、金の重みで下にいるんですね。で、上の方は見晴らしの良い運輸省なんですけども、これが結構いろんな所でですね、今日は、建設省の方もいらっしゃいますのであまり言えないですけども、喧嘩ばかりしあっていまして、その上また、警察庁がありましてですね。日本は面白いですね、道路を造るのは建設省道路局、関係部局には都市局というのがありますね。でまあ、川に行くと川に道路を造ろうと思うとなかなか出来ません、これ、河川局ですね。そして運輸省は何をやっているのか?道路の上のバスは運輸省なんですね。ところがJRはJRでまたある。そして道路の上を走っているのを取り締まる、誰がやるかといったら警察がやるんですね。これ、実に縦割り行政ですね。それなりによく仕事をされている。私が思うには、仕事をしすぎるんですねえ。その結果、市民はどうかというと、迷惑を被っている、これが日本の実状ではないかと思います。結局どういうことかというと、私が十何年前に学んだ時に、やっぱりJRがある、これをうまく利用して駅を増やそう、と思ったがなかなか出来ないですね。次にバスルート再編しようと思ったら、それにも監督官庁があったりしますし、バス業者の仲が悪い。これをトータルにやっているところがないですね。で、路面電車があるんだから、それをまあ繋いでですね、例えばレールの幅が一緒だからJR線と繋いだらどうかとか、バスをここに乗り入れてこうやってグルッとこうバスが廻るようにして、電車がこう走ればいいと思っても、まず出来ないですね。
交通に対する行政の取り組み
第一、それを考える市の部局がなかったんです。これにはびっくりしました。つまり先ほどのようにお酒が飲めて公共交通があって、夜遅くまで走っていて、街が賑わっていて、それで経済が活性化して…。便利なシステム、東京に行くのが3時間、大阪に行くのが40分なら、岡山市内では10分から15分でスルッといけるようにしたかったですね。ところが出来ないので、岡山市に行きました。岡山市に行ったら企画室という所で、こんな事やっているのだといって、何を見せてもらったかと言ったら、『さわやかキャンペーン』。これは、『さわやかキャンペーン』というチラシをちゃんとどころかポスターまでつくってですよ、ポスターは恐らく100万円から200万円かかっていると思いますよ、ねえ。『週に一度は公共交通機関を利用しましょう』。こうやってチラシを配って、各企業に送って来るんですよ。「でも、誰が利用しますか。こんなの、意味があるんですか。」と、私が言ったんですね。そして「バスマップあるんですか」と言ったら、「そんなものありません。」バスマップさえないんですよ、日本には。数年前ヨーロッパに行きましたが、どこの駅に行っても、無料でそういうものを当たり前のように配っているけれども、日本にはないんですね。そこで、最近になって、もうとうとう痺れを切らして、RACDAで作りました。100万円、まず商工会議所の関係からいただきました。UPCC(岡山まちづくり連絡協議会)という我々の上にさらに資金援助団体というのをつくりましてですね、商工会議所で年間600万円から800万円を集めています。そのうち、100万円いただきまして、バスマップ作りました。交通コンサルタントが我々の中にいるんですね。プロが既にいます、RACDAの中には。そして、彼に言いました。「おい、給料でえへんぞお」っと。「印刷代込みで100万円でやれ」と。「うん、おまえの給料はその内の30万だ!」
と言ってですね。ところが、その事務所、2ケ月は仕事になりませんでして、往生しましてね、結局、建設省の方がおりまして、「ほんならうちは、そのバスマップをホームページに入れるからその費用で100万円出すわ」ということになりましてですね、計200万円を調達できまして、1,000部ほど刷りました。で、岡山市役所に行って配りますと、3日間でなくなりましたね。結局みんな求めているわけですよ。公共交通って、本当はすごく不満があるんです。けれども、それを統括する所がない。市に行きましても、交通局がある所はまだしもです。でも交通局がある所というのは、電車かバスか何か持っているんですね。ですけど、ないところ、岡山のような所の場合は、「民間がやられることに市は何も言えません。道路渋滞は、それはまあ何か考えていきます」。で、「JRはJRです」と。「バスはバスです」と。「市は市です」と。では、市には何処に何を言っていけばいいのかというようになりますが、言うところがないんですね。そういう状況です。
縦割りの行政
日本って、運輸省も、業者の管理だけやっていますね、監督官庁なのですよ。ですから最初、路面電車でですね、建設しようにも、市をつついていても10年動かないわけです。しょうがないから、RACDAをつくったんですよ。そして、やっていったんです、サミットを利用して建設省と運輸省と、直接の話を聞きました。そうしましたところ、運輸省のだれだれというとちょっとまずいんですが、ある課長がこういうんですね。「岡さん、運輸省というのは規制官庁じゃから動かんよ、だめです、うちはだめです。ですからこれはお金もあって前向きに何でもやるのが大好きな建設省を動かしなさい、そうしましたら我々はあわてて動いてきます」というふうにおしゃいまして、それはそうかもしれないとこの辺の所はですねぇ、市民グループですから今日は悪口散々いうと思いますけれども、これは実際はっきりしてまして、その中で国土交通省になると言う話になるんで路面電車というのは彼らもですね、国土交通省ができたとき、旧運輸省が全部取りたいなと思ってるんですよ、たぶん建設省も旧建設省が全部取りたいと思ってる。これ変な話ですけれども本庁というのは省があって省が一枚岩だと思ったらとんでもない間違いでございまして、省じゃなくて局益がございまして、局じゃなくて課益があるんです。これが行政の組織です、基本的にそういうものです。このことをよく理解した上で市民運動をやっていかないと成功しないんですね、これ、なぜそうなっていくかというと行政というのは役割分担を明確にします。ですから中央官庁というのは最初にどこまでが自分のところの役割かということを議論してそれを徹底的にやるんです。つまり徹底的に縦割りをやっていくということを中央官庁はまず最初の教育としてやっていくんですね。これはもう中央官庁はそれでいいと思います。ですけど我々、市民、あるいは地方自治体はどうかというと縦割りを横割りに直していく作業をやらなきゃいけないんです。ところがどうかというと県も市もそのままいってしまってるんですよね。本当はここに問題があるんです。
中央官庁は、それで本当,いいんですよ。ですから、そこのところを理解した上でやっていけばいいんですね。まあ、この辺のところもやっぱり市民運動でこれからどうやっていくかって時ですね。行政のシステムをよく理解して勉強していくこと。そして、それをどのように動かしていくということがですね、非常にやっぱり私は、今、現状の予算の制度だとか、それから財政ですね。国がやっぱり大体持っていますし、そういう状況の中ですね。地方分権をほんとの意味で進めていかなとですね。この路面電車は、出来っこないですね。補助金
岡山なんかまだ路面電車があるからよいですよ、実は、金沢の市長さんが、最近ずーとこうやろうということで、ストラスブールの市長さんを呼ばれたりしてやってたんですね。ところが、やはり新規に作るということになると、200億円とかかるんですね。5キロとか造りましても、200億円とかかります。路面電車はですね、1キロ造るのに10億って、まぁ、少なく言う方が都合のいい時は10億って言うんですよ、でも、今のいいシステムでLRTで造ろうと思いますと、だいたいまぁ20億円はやっぱりかかりますよ。路盤もきれいな・いいものを造らないといけません。今までのガタガタじゃなくてね。スピードも出せるし、揺れないというものを造ろうと思えば必要です。それから、バリアフリーにしなきゃいけないですね。それならどうしても20億円かかります。更にですね、それだけじゃ駄目なんですねぇ。車両ですよ。あの超低床車両。高いですよね!1両3億円。広電に今度入ったのが3億数千万円ですね。熊本の2両編成で2億数千万円。ですから、こういうものにすると、たとえば岡山で1キロ伸ばすと27億円いると。27億円のうち車両費が実は9億円か8億円そんなところになってるんですよね。ですから、さっきの都市の装置というけれど、路面電車の超低床車両も都市の装置として考えてもらわなきゃ絶対出来ないですね。
それで、岡山の場合、1キロ27億円として5キロ伸ばしたら170億円になる。10キロだったら300億円近くになるんですねぇ。だから、これを合意のもとでつくって行くって言うのはほんと大変なんですよ。どうしてかといいますと、LRTの線路を敷く分、道路は車線が減るんですよ。つまりですね、ここが大変なことなんですね。2年前に私たちがサミットで東京にお邪魔したときに、今まで道路を作ろうと思っていた。ところが、ガソリン税で補助金を出してですね、道路を減らすんですよ。はっきり言って、車線を減らすってことは、車で走ってガソリン税を払ってる人から金を取って、それを路面電車に。つまり、車に乗る人からガソリン税をとって路面電車に乗る人に税金を投入するということに、これを建設省が決定をして補助制度を作ったと。これは大変な決断なんですよね。もう180度の転換ですよ。
市民を巻き込む強い政治
ところが、2年経てですね、そのときに岡山市長がモノレールを造るっていったんですね。それで、われわれが、ヤーヤー言うて、もう市長だけがですね、あと市長が「うん」言うたら出来ますよ、言うてですね。ところが、その市長が東京にたまたま陳情に行ってですね、建設省側からですね、要するに、どこかLRTやってくれるところはあるか、やっぱり岡山が一番早そうやなぁと。そこで、建設省側から「市長さんやられませんか。」言われましたら、今までモノレール言うてた人がですね、コロッと、そこで「岡山市は路面電車で一杯にします」と言っちゃんたんですね。この市長!この前落ちましたけども。実は、そういうことになったのは、私自身が市長選挙に出るんじゃないかという噂を私自身も言ってですね、これでかなり脅しとったんですね。それで、もう最後になって、もうどうしても駄目だったら、ほんまに出る準備をしとりまして。幸いに出馬せずにすみまして、それで通産省の方が出まして、今回通ったんですけども。それくらいですね、強い政治力をわれわれもある面で持っていたからこういう事が出来たんですね。ところで、市長が言ったというのは、翌日、われわれにも電話があちこちから3本かかって参りまして、そして翌日には、はや会議でそういうことになると言うて、そこにいた岡山市の都市整備局の人は何にも知らんかったと。で、数日後の市議会においてですね、市長がそう言うたということで、市議会に相談なく言っちゃったということでですね、これでまた一日、市議会が空転しましてね、そのぐらいわれわれも10何年やってるうちにですね、やっぱり市長との対立関係ですけども、結局そのいろんな政治状況の中で、対立関係も出来たり、いろいろしたんですが、やっぱり政治ぐらい動かせなきゃこういうことは出来ないよな、ということだったんですね。
そういうふうな大きなこの転換というのは、私たちも10年やってるうちに、だんだん政治力がついてきて、同時にですね、その政治力って言うのは、何に裏付けられてるかというと、たくさんの市民を巻き込んでいると、あるいは、マスコミが私たちのことは何でも書くというぐらいのですね、それはやっぱり自分たちがある程度その節度を持って運動していく、そして、常に私たちの運動は楽しくて、やりがいがあって、しかも、なおかつ、将来に向けて夢があると、そして、みんなの役に立つ、そういう運動を実はたくさんやって来てるんです。ネットワーク型まちづくり運動
あの口の悪い連中はですね、私に対し、役職百貨店といってアダ名を付けてますけども、50ぐらいの会に所属してて、会長職を7〜8つやってます。それで、そういうふうなことでいろんな遊びの団体とか作って遊んでる中にね、いろんな団体の方々が次から次へとこう、RACDAに入ってると。実際、RACDAの幹部会って毎週火曜日ごとにやってますが、この幹部のなんと半分は内田百聞という作家の顕彰会の会員なんですね。そういう方々の中で、いろんなネットワークがすでに出来ていて、それで、そういうところから、徐々にこういろんなことで、ふれいあいが合った人々がまわりにいると。つまり、ネットワークなんですね。ネットワーク型のまちづくり運動やってたからRACDAっていうのが、政治力を持ち得たということだったですね。最終的にそういうことで、市長がですね、路面電車でいっぱいにするといっちゃたもんですから、結局ですね、建設省が調査費を付けてくれまして、ちゃんと数ヶ月後には、路面電車をやろうというふうな審議会が出来て、私たちも入りました。
ところが、それだけでも、まだ、前に行かないということで、結局ですね、表の委員会とは別に勉強会を作りました。これは市の方々に呼びかけまして、商工会議者所とか、日本開発銀行だとか、路面電車やってる事業者だとか、あるいは地元のシンクタンクとかですね、そういう方々、あるいは建設省も入ってましたかね。そういう方々に呼びかけて、月に1度か2度ですね、ワーキンググループを作って勉強しました。
そして、具体的にですね、採算性計算から何から、もうさっきのような行政上のそのぶっちゃけた話ですね。やっぱり公式な会議で出来ないんですね。運輸省の誰それがどういうとるからあの人落とした方がええとかですね。警察のあの人はうるさいからちょっともう1回お願いに行ってどないかして、たぶらしこまにゃ行かんとかですね。そういう話が、10人ぐらいだとちゃんと出来る訳ですよ。そういうプロジェクトチームを作ってですね。それで、公式な会議に行く、通常ですと、これもちろん、交通コンサルタントですね、公式な会議にはついてるんですが、それとは別にやはりそういう我々が市民の代理としてやっていたんですね。その時にですね、私たちの中にも実は軌道ではないですけども、鉄道を作った人間がいるんですね。たとえば、運輸省にこんな分厚い申請書類を作ってですね、認可申請をしたことがある人が、我々RACDAの幹部に2人もいるんですね。岡山市役所には、そういうのが1人もいない。というぐらいの、その我々の経験がむしろ勝っているというふうな差があったと。実は、そういう連中が、こういう本を書いとりますから。もう本を書く段階になりますとですね、私のような佃煮屋では太刀打ちできないような、やはり、専門部分があるということで実際のプロ達がかなり書いてくれた訳ですけども、恐らく、各地のいろんな所にはそういう専門家たちがいると思うんですね。そういう方々がやっぱりほんとの意味で、プロがやっぱりこういうことは、やっていかないとですね、まちづくりというのは、出来ないんだということなんですね。私たちRACDAは、基本的には、アマチュアの集まりですけども、ネットワークを創る中にそういうプロ達が、ボランティアあるいはボランティア的にですね、完全にボランティアじゃなくて、多少報酬入ります。今、もう、そういう形になってますが、そういう形で参加をしていかないと、やっぱり、出来ない。その中にはですね、行政の担当者もプロでありながらRACDAの活動にはアマチュアと同じようにですね、ボランティア的に関わると、そういう連中が来ているんですね。ですから、毎回の幹部会には建設省のキャリアの人間も一緒に来てたりというようなことが起こってるわけですね。そういうふうな市民団体であるということをご理解頂きたいと思います。
LRT実現へのハードル
今回は、LRT実現へのハードルということで、お話をしてるわけですけれども、実際ですね、この路面電車をまちづくりの中でつくって行こうということは、本当に、これからの日本の社会を変えて行く事になるということです。私たちも、最初、路面電車サミットまでは、岡山の場合は、平成元年ですね、商工会議所はこの路面電車の環状化のプランを取り上げてくれまして、いわゆるその中心市街地の活性化というところから入っていったんですね。その中にやはり、まちの中を歩けるようにしようと、1キロスクエアという中心部のその部分にはなるべく車を入れずに、路面電車を環状化してその中は、1部のバスかタクシーかあるいは徒歩を中心にしようじゃないか。そういうまちづくりをやって行こうと。商工会議所レベルから最初進行していったわけですね。その中でだんだんバリアフリーの観点、やはり、高齢者、障害者がもっとまちの中に住んでいるとそういうふうな事も必要なんじゃないかというふうな観点も出てまいりました。
ストラスブールでは
更に、路面電車サミットがあった平成9年ですが、その年の秋に、地球温暖化防止京都会議がありましてですね、あの後にびっくりしたのがですね、環境庁関係の外郭団体から原稿依頼されたんですね。ビックリしましたねぇ。それから、そういう関係からいろいろ話をせいと。で、それでいろいろ調べておりまして、やっぱりヨーロッパでは向こうへ行った時ですね、例えば、ストラスブールの市長さん、最初の市長さんがですね、今は確か、フランス政府の広報宣伝省の大臣になられていると思うんですけれども、この市長さんっていうのは、すごい政治力がある人でしてですね、そして、まず、何をやったか、この人はですね、ちょうど、ストラスブールってのは、ドイツとフランスの国境のまちです。で、ドイツの緑の党の影響を受けているわけですね。ですからまず、環境対策をやるためにはどうしてらいいか、まちの中には車はいらないと。それで何をやったか、まず、環状道路を整備します。そして、まちの真ん中に5万台通ってる道路はですね、ここを通せんぼにしてですね、通れないようにする。それで、北から入った車は北に戻りなさい。南から入った車は南に戻りなさいと、そういう政策をまず、ある日をもってボンとやるんですね。そうしておいて建設を始める。当然反対はあるんですね。商業者が大体反対するんですね。そんなもん車が通れんやないかと、買い物に来れんじゃないかと。しかし、この市長さんすごいですね、だいたい左翼のリーダーですから、「ジャンヌダルク?それはけしからん。」ジャンヌダルク像いうのがあったのを引き摺り下ろしたって、そういう方でございますんで激しいんですね。で、市民に対してですね訴える。だけどやっぱり選挙で通ってるから強いですね、その面では。それで、それを政策にして選挙に勝つということをやっていた人ですね。つい数年、わずか数年でこれをやってるんですね。その代り自転車道の整備、それから市役所なんかかが元あったところの大きな広場は駐車場やめて広場にする、とかですね。それから、バスルートとかいろいろやってます。パークアンドライドもやってるし、バスルートのこともやってるし、それからさっき先生がちょっとお話をされましたが、電気自動車のレンタルもまちの中でやってるんですね。そういう総合的政策をやってる。つまり、路面電車とLRTが何が違うかというと、要するに、今、TDMという言い方をするんですが、これは建設省なんかもですね、そういう都市圏交通円滑化総合計画、TDM推進、こういうパンフレットがありますから、国道事務所とかそういう所にありますので、ぜひ、もらっていただければいいですが、要するに、総合的な交通計画の中でまちづくりを考える、その中で路面電車を位置付けているものと、こういうふうに定義づけらるんだと思うんですね。つまり、LRTはもはや路面電車ではないんです。その限りにおいては、結局、徒歩と自転車とバスと自動車、これらの交通その他の交通機関と関連付けられなければLRTではないということですね。ライト・レール・トランジットではないということです。
軌道法の問題
ですから、そういう意味では、先ほど先生の方からもいろいろ法律の問題がたくさん出てまいりましたけれども、今の日本は軌道法、これが建設省と運輸省の共管ですね。それから鉄道法、これは運輸省です、分かれてますね。この法律が2つあってということになると、やはり、非常に難しいんですね。私たちは、今、RACDAという組織を基礎にして岡山でやっていますが、なぜ、こういう枚方にもどんどん出てきてやるか。高岡にも、もう、RACDAが出来ました。RACDA高岡というものが出来ました。何回か講演に行ってですね、とうとう出来るんですね。ここはもう事業者が廃止したいっていうんで、高岡市の方から頼まれていったんですけども、とうとうそういう市民団体も出来ました。私達は、やっぱり、これは軌道法と鉄道法とをミックスしたような、LRT法のようなものをちゃんと作って、それを都市計画とかそういう中でちゃんと位置付けていくということをやらなければ、日本のLRT時代は来ないだろうというように思ってます。ですから、全国的なネットワークを創って、あるいは、市民団体もそうですし、国会議員連合でもつくってですね、やっていかないといけないんじゃないかということを考えています。また、それぐらいやる価値があるんですね。
環境問題と公共交通
ドイツへ行って解ったのは、ごみ処理とかリサイクル、これが大きな柱になっています。
もう1つ、EUはですね、公共交通重視政策なんですね。そういう意味ではこの地球温暖化防止京都会議で最初15%というのを出してきましたね。これはもう彼らは自信がある訳ですよ、例えば、ごみ処理ということでいえば、リサイクル産業でドイツではすでに25万人の新たな雇用が生じてるって言うんですね。あのぐらいリサイクルとかやってでもそのぐらい生じてると。日本で、もしあれぐらいやろうと思ったらですね、100万人規模の雇用が創出されるはずですね。これからの日本を考えていくとですね、今は、日本はこの前の会議で6%ということになりましたけども、あれではですね、地球温暖化対策は出来ないことは明確なんですね。ただ、アメリカがまだ、反対してます。でも、アメリカではすでにさっきのいろんな話もありましたように、どんどんすでにLRTの導入が始まってますし、都心ではトランジットモールというふうになっています。ゆくゆくですね、ある日、突然アメリカがヨーロッパ並ににですね、うちもほんなら15%で行くわ!というた時には、皆さんどうなると思いますか?日本は、15%飲まざるを得なくなりますよ。この日は必ず私は来ると思っています。今、通産省が、いろいろ反対してますよね。逆行してるんですよね。原子力発電を使うと。でもね、これはもう徹底的な署名でもやっていく。これはもう恐らく人類、特にですね、今、世界で10億人ぐらいの、この先進国の役割だと私は思うんですよね。明日、岡山でまた、地球村って言う環境団体のですね、日本で最大のネットワークの高木さんっていう方の講演がありますが、ほんとにですね、やっぱり地球環境の問題を考えたら、我々は、こういう政策を率先してやらないといけないでしょうね。で、恐らく今、10億人といいました。10億人の我々のような先進国がちょっと使っただけで、石油を使っただけで、こんな環境破壊が起こっちゃたんですね。環境ホルモンの問題なんかもどんどん、また、出て来て、非常に深刻な問題ですけれども先進国としてですね、これから、中国なんかは、どんどん、どんどん工業化を進めていっていますけど、私は、今の技術のままで中国が同じようにエネルギーを使おうとしたときに、早晩、これはもうエネルギー危機は来るんだろうと思いますね。そうはさせてはいけないんですよ。中国やインドの人々に、今の我々と同じような生活をさせてはいけないんですね。となると、我々がどのように、言うなれば、エネルギーという面では落とすかと。しかし、社会全体としたら経済を落とすわけに行かない。これはどのような知恵を出していけばいいのか、その辺のところをやはりドイツは非常によくやってるということですね。でも、全部成功してるわけじゃ、もちろんありませんよ。ただ、そういうことが追っ付け来るだろうと思います。それで、一昨年ですね、LRTのワークショップって言うのが、建設省、運輸省、初めて共同であったんですね。東京と熊本でやられたんですけども。その時に、ウィーン市の大学の教授がこういわれたんですね、「ウィーン市では50%、2008年から2012年までで削減するという目標を作ってる。」と言うんですね。50%って凄いですね。だから、路面電車敷いてやってるんだっていうことですね。その時、私は聞いたんですよ、それ交通部門だけですか?って言ったら、「いや全部です。」って言うんですね。それはよく考えたら、そうなんですよね。国土全体で15%削減しようと思ったら、大都市は50%ぐらいやる必要があるんですね。そうすると、公共交通をもう飛躍的に拡大するほかはないだろう。日本での採算性
それで、もし、そういうことが本当に起こるならですよ。と、いうことで、私がちょっと、いろいろ試算をしてみると、日本で恐らく、やっぱり150ヶ所程度、人口20万人以上の都市圏ですね、まぁ、採算が取れるところ、あるいは、採算が先ほどの50%であろうとも、やり得るべきところは、150ヶ所位はありそうなんですね。まず、今、路面電車ということで導入をかなえようとしているのが、地方中核都市です。岡山や熊本のようなですね。あるいは、その規模ですけども、こういうところもちょっと郊外へ行くと採算が、結構、取れないですね。むしろ、大都市周辺、こういう枚方とか、東京の町田市って言うところ、ここらもそうですね。人口40万、50万いたりするんですね。そういうところでやっぱりもう自動車って言うわけに行かないですけども、バスが年々衰退していって、自動車が増えすぎて困ると言う問題があるんですね。ところが、岡山とかこういう地方中核都市はですね、結構4車線道路ありましてね、割とまぁ気軽にその4車線のうち2車線削っても2車線残るわけで、出来るんですけども、大都市の周辺ってのは、まだ、現状の日本人の意識から言うとですね、4車線道路が少ない上にですね、なかなか大変かなと。まぁ、ここもそうですけども、そういうふうには考えますが。しかしですね、採算性という面で言ったらもう何の問題もないですね。すぐやっても。要するに、強力な行政と市民のコンセンサスづくりさえ出来れば、2車線あるところをつぶすか、3車線あるところを2車線つぶすか言うことでもすぐ出来ると、お金のことはあんまり考えなくても出来ると言うメリットはあるんですね。ただ、いずれにしてもその都市の規模によっては、いろいろ違いますが、私は日本ではそれぐらいの数、150都市、距離にして2000キロ〜3000キロなんてのが恐らく地球温暖化対策を先進国の義務としてですね、やるとすれば必要があるだろうと言うふうに思っております。
都市対策
そうしますとですね、そのための建設投資だけでキロ20億円、こういうときは大きい方を言うんですね、キロ20億円あるいは30億円とかもしますよ。20億円だとしますと、3000キロ造ったら6兆円なんですよ。これだけの需要がですね、建設投資としてある。しかも、それに付随したいろんな都市計画とかやりますとですね、都市にかなりの投資が起こるんですね。必要なんですね。バブル期に増えた建設業の方々が仕事くれいうて、今度は役所に群がっちゃってね。それで要らないものをドットコ、ドットコ造れ言うて、ますます増えて、更に、まだ今でも業者の数は増えてんじゃないかって話がありますが、こういう状況になって非常にいびつな日本の産業構造になってますけども、こういう方々が、政治家のバックにいるんですから、なかなか政治が変わらないんですけれども、私は、こういう方々のためになるべく心にはない話をするんです。つまり、6兆円の投資が起こる可能性がありますよ。話半分としても3兆円ですね。これは皆のためになる事なんですよ。都市住民のためになるし、環境対策は出来るし、都心の空洞化対策やってですね、そして文化が育ってですね、都心が賑やかになって、そこでお金が回っていくんです。みんながお酒飲んでドンチャン騒ぎをしてですね、そうするとみんなデートもしますから、過ちも起こって少子化対策にもなるんじゃないかと言うふうな、これちょっと極めつけの冗談なんですけども。
交通機関の変換
まぁ、そういうそのヨーロッパの街を見てると小さな街が結構元気なんですね。あの賑わいを見てると、やっぱり街ってこうじゃないといけないなぁと。それで、おしゃれな服やね、いろんな物がやっぱり売れていく、これが消費拡大なんですよ。要らないもの買え買えったってね、振興券配ったってね、消費拡大は出来ないんですね。つまり、そういうあらゆることを、やはり路面電車を契機に、私はやりうると、ただバスだとか、さっきの自転車だとかそういうことも総合的にやらなけりゃいけない。だから私達は、バスマップを先に作ったんですよ。バスマップ作るとね、皆がますますRACDAってすごいなと、本当にみんなが困ってる事をよく知ってるなぁって話になるんですね。そして、いろんな団体をRACDAに入れていく、行政上のハードルはありますが、やっぱり根本はですね、みんなの心の中に潜んでいる自動車信奉主義、自動車でなくちゃいけないと思い込み過ぎてますよ。自動車であるが故に、例えば用事があるとき眠ってるんが自動車ですね、通勤に自動車使うって言うのは、それ以外のときは駐車場に留めてるわけでしょ。ほとんど留まっていて車のためにみんなどうですか。貯金して買うんでしょ、みんな。暴走族のお兄ちゃんなんか大して稼ぎがないのにね。ほんとにほとんど留まって、日曜日あるいは金曜日か土曜日の晩、ブワーッと飛ばすだけのためにね、飯食うのはほとんどラーメンだったりする。こんないびつな社会なんじゃないかなぁと。でも、車が要らないわけじゃないですよ。要るんですよたぶん。電気自動車だとか増えてきてる。恐らく結構いろんなふうに言えばね、車そのものは、そんなに僕はへっこまないと思いますよ、産業としてね。ただ、少し小型になったり、あるいは2台持つと言う時代が来るんだろうと思うんですけどね。そういう時代にやはり新しい選択としてですね、都市にそういう公共交通、その極めつけがLRT。LRTを幹線にして、そこをコミュニティバスのような小さなバスでまいてですね、昼間は自転車も詰めるとかね、その自転車も折り畳みとか、あるいは、場合によったらローラースケートとかですね、ローラーブレードとか、スケボーも交通機関と考えたらいいんじゃないかと私は思ったりしてるんですけどね。そういう発想を持ってですね、やればもう小学生なんかみんなローラースケートで通ったらとかね。そのローラースケートは、電車に乗ったらぱっとブレーキかけたら普通にと歩けるとかね。そういう発想を持ってやったら公共交通と歩くこと組み合わせたらね、結構いろんなことできるんですね。ローラースケートってみんな危ないからって教育委員会に怒られそうなんですけども。実は、そのバスマップ作った人は、教育長の息子なんでその辺から何とか、とかね、そんな話をしようと思ってるんですが。ほんとに例えば、シンガポールにローラースケートでですね、ウエイターがこう行くような、映画にチョコチョコ出てきますけど、そんなものもあるぐらいですね。ま、ローラースケートまでは行かなくてもね、いろんなやっぱり交通って言うことは考えられると思うんですね。ホンダの社長さんじゃないですが、やはり必要があれば、いろいろ技術はついてくるわけです。いろんな技術を開発すればいいですね。そしてやはりよりエネルギーを使わずにみんなが共通に使えて便利なものを作って行くことは、可能だと思います。これは、組み合わせれば可能だということだと思います。
発想の転換
最終的にですね、その市民のコンセンサスづくり、今の法律をいろいろ変えて、例えばですね、建設省の渋滞対策は、車道を増やす代わりに路面電車をつくるとなっていますが、歩道を増やす代わりに路面電車をつくるという発想に書き換えてくれと道路局の方々に申し上げているところです。まさに路面電車は、歩道の一部なんですよ、という感覚が必要ですね。警察の方々にですね、今、路面電車の話をしますと、「あんな大きな物が走ったら危ぶねぇやな」という話になるんです。これは是非、ヨーロッパへ連れて行って見せにゃいかんなと思うんですが。見せても、これはうちの部下が文句言われても困るんだという話になるんですね。それで私達は路面電車のビデオを作ったんですね。RACDAのビデオは、結構あちこちで上映されまして、中には、うちは費用がないから、ようけダビングするけど許してと言われまして、資金源となる予定が全く外れたんですけれども。でもやっぱり百聞は一見に如かずです。
ほんとにヨーロッパのシステムは良く出来てるなと。人類の知性という感じが致します。その導入段階でですね、ストラスブールやグルノーブルでいろいろと話を聞いたんですけれども、特に、私はLRTのいいところは良く解ったけども、どういう反対運動をどのように抑えていったかという話だけを聞いてきたんです。あらゆる人と共に
その時ですね、やはり、まず、高齢者団体、障害者団体の方々に一緒に入って頂きましたというのがありました。これは、ただ、バリアフリーとの観点からすべての人が自由に動けるということが、非常に大事なのであって、今、ユニバーサルデザインという言葉があるんですけれども、そういうことも非常に強調されていました。それから、普通に歩いている場合にも段差がない方がいいんですよね。そして、更に女性団体ですね、これが1つの大きなポイントになっています。私は、岡山市の女性センターの答申を書いたということもありました。それ以来、すべての事業はやはり男女半数を目標にしてやって来ていまして、だいたいRACDAの会員も幹部会も男女半分ですね。
今日、こちらを見ますと女性は少ないんですけども、やはり、男性だけの見方だとこういう公共交通の問題は解決できないんではないかと思っています。特に子供ですね、子供連れの方々は、車社会というのはお困りになっている方が多いと思いますよ。それから妊娠をされている女性たち、これには、ほんとにもう足が不自由な状態、お年寄りと同じくらい今の公共交通システム・階段の多いこういうシステムでは苦労なさってるはずなんですね。そういう声が全く今の交通行政には反映されていません。
やはりそういう方々を巻き込んでいくということが非常に大事です。また、私たちの中には、デザイナーとかですね、こういう方がたくさん入ってます。デザイナーで女性運動やってる人がですね、来週に一緒にイベントをやります。男女共同参画センターを作ろうという会が先々週ぐらいに出来まして、一人ぐらい男がいるということで副代表にされました。そういう連中が今度は、わたしたちがやる「四川トランジットモール」というフリーマーケットと一緒に歩行者天国をやって、そこに時々バスを通そうみたいなね。実際、なかなか通せないもので、看板に偽りありのトランジットモール実験と称するものなんですが。その時にですね、女性センターをつくる連中がですね、そこで、リーダーシップを発揮するとかですね。そういうふうに一緒にいろんなところとやるというスタイルが既に出来ているんですね。そういう中で、やっぱり女性運動の連中もそりゃそうやなと、私たち女性の声が届いてないじゃないかということが解ってくる。ほんならいっしょにやりましょうよと。同じように理解のレベルを合わせると言うように変わってくるというふうな形になっている。ま、RACDAの幹部会、今40人くらいおりますが、今回その中から私たちのこのビデオに出てきたツアーについて行った人間がそのことが一つの契機になって今回まず市議選に出て通ったんですね、それから女性運動のリーダーが全国の議員の連合でやってまして静岡にも最近やっぱりこういう研究会が出来てますけれども、静岡の議員がですね、岡山は、ものすごくこういう事を頑張ってるじゃないかと言うことで、岡山のその女性議員に対し「あなた岡山に居るんだったら岡山の路面電車勉強して、一緒にやりなさい」と。静岡の市議会議員の紹介で我々のRACDAに入ってきて一緒に活動しているんですね。先週ですか、ヨーロッパヘ自費でいって帰って参りました。その時ですね、私はいろいろ質問をして来て欲しいということでアドバイスに行ったんです。「どうやってコンセンサス作りをしましたか?」て聞いてきたんですね。そうしましたら、そんなものは、30年前に出来たと、ドイツで言われたそうです。失礼を致しましたと言うことでしたね、ただ、向こうで、ちょうどそのカッセルという町でですね、行きましたら、そんな路面電車なんか見に来たんかということで、エライ大歓迎を受けまして、向こうの新聞にも載ったんよということですね、エ、まあ、大変な事だったんだそうですけども。まあ、そのようにですね、やっぱりこれからのこの市民運動としてですね、こういう事をやるということは、より広範な方々にですね、呼びかけていかないと、この自動車社会はぶち破れないと思います。これが一番のポイントなんですね。実は、建設省の道路局の方と最初にいろいろと話をしている中で、やっぱり、これは岡山に予算をつけるけれども、岡山の場合、とにかく市民合意のモデルを作ってくれるんだろうかと、いうことをお願いされました。私たちもそのつもりでやっていきたい。そのためにも岡山だけじゃ駄目だから、全国で一緒にスクラムを組んでいこうというふうに考えています。ぜひ、この枚方の方々にも、頑張っていただきたいということです。
最後にですね。岡山市のお時間があと5分ほどですね。それでは、OHPのほう、ちょっと、見ていただきます。
岡山での考え
もう、LRTのいいところはいいんで、岡山はどういうことを考えているのか、まず、これが、バスマップですね。縦横あれですけども、こういうふうに作りました。放射状にすべてが延びてるんですね。環状には、まったくバスルートがない、全部が町の真ん中にはいるんですね。それで、その中心街がどうなっているかといいますと、中心街のですね、あそこにですね、2つの駅のところ、左側の上のところですね、岡山駅ですね、こっちに天満屋バスステーションっていう大きなデパートがありました。この間にですね、なんと、2千本のバスが走っています。それで、このほとんどが空で走っています。これだけでも、だから、20秒に一台ですかね。計算しますと。それで、こういう都市構造になってまして、すべてが、この2つのバスターミナルを通るものですから、この街のたとえば、右側から左に通り抜けるという行き方をしますとですね、あの街の真ん中でバスが20分くらいバタバタしてると、こういう状況でして、非常にその公共交通が使いにくくなっています。こういう構造、これをやっぱり、LRTによって改良していこうと考えています。
次は、今現在の、ルートですね。岡山が4.何キロで、日本で一番短い路線なんですね。ただ、JRが8方面にありまして、その駅に乗り入れてないですけどね、これが乗り入れしていくと非常に便利になるだろうと。今、直径300メートルの円で路面電車利用可能範囲を書いてますけども、中心街、だいたい、かなりの部分でですね、あの300メートルの範囲になっているんで、使い方によると、便利になるはずだということですね。
それで、どう通すか、6ルート案ありまして、6つのルート案でどれが、採算性がいいのかを検討いたしました。
例えばですね、北の方の運動公園、こういう所も、駅の西口というところから、これ、一番下の方が駅なんですけども、通してはどうか。実はですね、岡山は、JRが多いといいましたが、このそばに吉備線ってのがありまして、この下の方から、来ているんですけども、これは、岡山市の近郊鉄道なんですね。それで、ここを電化しようってことがあるんですが、こういうものをむしろLRT化して、電車と相互乗り入れをしてはどうかと考えています。
これが、我々のRACDAが言うルート案で、あっちこっちこのように延ばすと、ほとんど、300メートル内に電停ができちゃうよと。こういうことを荒唐無稽に書いてあります。そういう中で実はですね。この駅前乗り入れも出来てないですね。この駅から、駅のホームから、電停まで、今、200メートルほどある、これがだめなんですね、JRの敷地だから出来ないと、これは、今、バス停の改良計画、今やってるんですけども、その中にも入らなかったんですけども、将来的には、そういうことも考えています。
今、岡山市ではですね、岡山市役所までの1キロ延伸ってことが、予算上、調査費がついて、さらに埋設物調査をやりましてですね、歩道の下のあたりにですね、いろいろ埋設物がありました。これをどうするかって問題なんですね。通常はですね、軌道法でいうと、だいたい真ん中に作ることになっとるんですが、しかし、それじゃあ、やっぱり全員渡っていかなくてはいけないから、危ないんじゃないか、やっぱり街づくりの視点からいえば、歩道寄りでいいんじゃないかってことで、それじゃあ、両方の歩道寄りにってことで、しかしこれでは結構、建設費がかかってしまう。
そこでとりあえず安くするなら、単線で環状化してもいいんじゃないか。これはコミュニティバスなんかはそうですね、武蔵野のムーバスなんか。
ぐるっとまわって4キロぐらいなら単線でもいいんじゃないかなと考えもしましたが、最終的に片方に寄せて歩道寄りと、いわばミニトランジットモール、半分トランジットモールのようなスタイルですね。それは市の方々最初は絶対に無理だと言っていたんですけれども、先ほどのワーキンググループを作りまして、だんだんやっている中で理解が深まって、岡山の街でどうせやるなら、画期的なことをやろうということで歩道寄りということを打ち出してきたわけです。これから警察との折衝だとか、軌道法の解釈、あるいはどの程度のスピードだとか、車両性能はどうだとか、細かい打ち合わせをこれからする段階に入ってきている。これが上から見たところですね、やっぱり搬入路をどう確保するか、そういったことも、これから細かいところの詰めですが、ただ今計画されている1キロというのは、あまり個人の商店がないので、やりやすいなというところです。
いろいろな考え
これは超低床車やっぱり高いから、安くできないかと、単車で出来ないかということですね。ただ現実には今の日本の事業者には、こういうボギー車という小さいのは出来ないかなという要望は多いのですけれども、将来的に考えたらやっぱり連接以上で、効率的にたくさん運べるというふうにしなければならないだろう。ただこれは非常にインパクトがあります。市民が街づくり会社を作って、私たちがお金を集めてでも車両を買うよ、と言ったことは、非常に大きく全国レベルでも報道されました。それが大きく議会とかそういうところに影響したという側面はあったですね。
さらにバスマップを作った時にですね、バスステーションもあちこちに小さいのを作ってですね、そこにパーク&ライドやサイクル&ライドの駐輪場等を併設し、そこにはコンビニエンスストアーがあってもいいんじゃないかと、いうようなことを考えました。これはバスマップを担当したものが考えたんです。さらにいろんな議論をしますとね、商店街にもストラスブールの路面電車みたいな格好をした、こういうトロッコムーバ、要するにテーマパークの中にあるようなちょっとした移動機関があってもいいんじゃないか、ということを考えまして、これはテーマパークの中にあるんですが、これをもってきたら道路交通法上どうなるかと、これは運輸省の本省の自動車交通局にまで持ち込みまして、'どうや'とか言いましてこんなん考えようとかですねえ、運輸局にも行きまして、これはバスになるか、何になるかよく考えてみてくれといっているんですけれど。こういう新しいツールというのも、商店街の活性化とか、ほんとうに道路が狭いというとこで、やはり1キロあるところ、500メートルあるところでこんなものを考えてみてもいいんじゃないかということですね。
なにも路面電車じゃないといけないとか、私はですからね、一番大事なのは、LRTじゃなくちゃだめだというところから入るとやはり非常に反対が起こったりします。ですからLRTも他の交通機関も、全てを平等に見るというところから入って、いかにやっていくか。その中で多分多くの場合路面電車、LRTということになると思うんですが、そういう視点が大事だと思います。
ちょっと遅くなりましたが、この辺でやめまして、後はシンポジウムの中で補足があれば、やっていきたいと思います。