国産初の100%超低床LRV(Light Rail Vehicle)車両を開発
第1号車両を広島電鉄に納入近畿車輌、三菱重工業、東洋電機製造の3社は共同で、国産初の100%超低床LRV(Light Rail Vehicle)車両「U3-ALFA」※1〜3を開発、第1号車両を広島電鉄(広島県広島市)に納入する。床面を路面近くまで低くし、車内全長にわたってフラットとしたことで、高齢者や身体障害者などの方々にも円滑な乗降と快適な移動を提供する。第1号車両の営業線への投入は2005年3月の予定。
わが国の実情に合わせ国産技術で開発した「U3-ALFA」は、車両長30mで5車体(3台車)連接の構成。台車部分については、国土交通省の支援を得て鉄道車両関連メーカー8社※4で構成した「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」の研究成果をベースに、バリアフリー化、低騒音・低振動、低速から高速までの幅広い走行性能などを実現したもの。
100%低床車両については、独立車輪台車などの技術開発面で長く欧州メーカーが先行していた。そのため、1997年に熊本市交通局へ初の低床LRVが導入されて以来、これまでわが国に登場した100%低床LRVはすべて欧州メーカーからの輸入または技術導入によるものであり、運用性やメンテナンス性などから一刻も早く日本の実情に合わせた、国産による100%フルフラットの超低床LRVの開発が待たれていた。このための重要な要素である台車の基礎研究※5を担うために、「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」が2001年に設立された。
100%超低床車両開発のカギを握ったのは独立車輪方式の台車。通常、左右の車輪の間は車軸でつながっているが、床面の高さは車軸の高さによって決められてしまう。そのため、台車には車軸のない独立車輪を採用、その外側に電動機や歯車装置を配した※6。この台車をコンパクトにしたことにより、出入り口部の床面高さは停留所から車椅子で直接乗り込める330 mm(通路部360mm)、通路幅もゆったりとした880 mm(動台車部)&1,120 mm(従台車部)を実現、従来の同タイプの車両に比べておよそ20%座席定員を増やすことができた。また、電動機制御にはVVVFインバータ※7、制動には電気式・機械式を併用し、あらゆる速度域からの停止も安全に行えるブレーキシステムを導入したことで車両の運動性能と走行安定性を確保して、設計最高速度も80km/hが可能となった。
そのほか、弾性車輪による低騒音・低振動化、回生ブレーキ※8の採用による省エネルギー化、伝送制御※9の採用による信頼性の向上、システム・部品の国産化によるメンテナンス性の向上、都市の景観にマッチする高いデザイン性などを実現、新時代の地方中核都市にふさわしい、環境に優しく、人に優しい公共交通を実現する車両となっている。