すべての利用者に優しいLRT

 ちょっともとへ戻って2ページですが、近距離移動手段としてのLRTのメリットを示してあります。先ほど話しましたように、「アクセスの容易さ」があります。LRTは上下移動をしなくとも路面からすぐに乗れます。第二の特徴として「位置確認が容易」だということを書きました。自分が一体どこにいるかということがわかるのは、移動する場合に重要なところです。地下鉄はこれは不可能に近い。

 それから「前後左右Gが身体にかからない」という特徴も重要です。LRTに乗っていますと動きがスムーズで前後左右に身体が振られることもなく快適であります。バスでは発進時、停止時、あるいはカーブのところ、交差点での右左折時、車線移行時にGが身体にかかります。発進時には身体が後ろに引かれますし、停止時にはブレーキがかかりますと前のめりになります。右左折時などは横に振れて横Gがかかります。運転者にもよりますが、荒い運転をされると乗っている者にとっては大変な負担になります。

 西鉄バスではレガート運転というものを運転者に教育したことがあります。レガートというのは音楽用語で、音と音の間を切らないで滑らかに演奏することですが、これは運転にたとえますといかにスムーズに発進し、スムーズに停止するか。これがお客さんに対するサービスであるというので、レガートな運転ということを非常に重要視したと聞きました。「あっ、このバスの運転者はこんな荒い運転をするな」と乗客は肌で感じるわけです。LRTに乗っていますとほとんどそのようなことは感じません。非常にスムーズな動きでありまして、そのような面でもLRT導入が考えられる所以があるわけです。

 今後の高齢社会に対する公共交通機関を考えるに当たって、交通弱者の移動の自由を確保し、生活の質を高めるために移動の質、移動の自由を高めなければなりません。

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