上下移動のない接近容易なLRT

 LRTの必要性はおわかりいただけたと思いますが、今なぜLRTを導入しようとするのか少し別の視点から考えてみます。

 移動の手段別特性を、移動距離との観点で見てみますと、非常に長距離の場合は、航空機があります。以前ですと船がありましたが、人間の移動では減ってきました。それよりも短いところですとJRや私鉄のような鉄道があります。それよりも短いところですと地下鉄があり、モノレールがあります。さらに短距離輸送ですとLRTとバスがありますが、
この二つは同じ水準だと思います。もう少し短いところでは自転車、さらに基本的移動形態としては歩行ということになります。

 LRTとバスを地下鉄やモノレールと比較してみますと、アクセスの容易さは比較にならないほどLRTやバスの方が勝っています。路面から直接乗れるという長所をもっています。地下鉄とモノレールは上下移動しなければなりません。エレベータやエスカレーターがあってもアクセスに非常に時間がかかります。時間的・距離的抵抗感があるわけです。

 公共交通機関は地下と地上に追いやられたといわれています。確かに京阪電車も高架になりました。高架になったことで皆さんも気づいておられるかも知れませんが、枚方市駅でもプラットホームにあがるまでに上に上がらなければなりませんが時間がかかるようになってしまいました。高架にしなければ道路の車の交通に影響が及ぶからということで電車が高架に上がったわけです。

 門真から伊丹の空港に行きますあのモノレールに乗ってみました。乗るまでにどれだけ時間がかかるか、あの上下移動は本当に大変なことだと思います。高齢者は上下移動を大変嫌います。エスカレーターがあっても嫌うわけです。特にエスカレータを降りるのに危険を感じて嫌います。

 いつでしたか大阪の地下鉄の交通局の部長さんが、「せっかくエレベーターをつけたのに利用する人が少ないので使って下さいよ。」といわれたのです。高齢者や身障者のためにエレベータをつけたのかと思っていましたよといいましたところ、「あれはもう、是非とも一般の人にも使ってほしいのです」ということでした。

 見ていますと、地下鉄を高齢者が使っている例は非常に少ないと思います。高齢者にとっては地下に入ったらどこにいるかわからない。オリエンテーションがつきにくいという問題がありますし、やはり上下移動を嫌うという面があると思います。一度高齢者はどのような乗り物に乗っているかを実際に調査してみたいと思うくらいです。

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